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help RSS 石田純一のデビュー作を書いた直木賞作家・佐々木譲

<<   作成日時 : 2010/02/22 02:42   >>

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警察小説というジャンルがある。中間小説誌(いまもそういう言い方をするのかどうか)では折りにふれて警察小説特集を組むくらいの活況である。とくに定義があるわけではなく、警察官が探偵役になったミステリーという程度のものだが、従来あった名物刑事の執念の捜査、卓抜した推理能力で事件を解決するといった内容から趣きを変えているのが特徴だ。

ブームの火付けは横山秀夫あたりだろう。
刑事ではなく管理部門の人間を主人公にした「陰の季節」(文春文庫)は着想がよかった。警察内部の組織間の駆け引きを精密な心理描写で丁寧に書いていた。もっともボクは、その後この人の「月刊・横山」といわれるくらい毎月新刊を刊行する粗製乱造に飽きて読者から離れてしまったが。
逢坂剛の「禿鷹」シリーズは悪徳警官が主人公。もう禿鷹は殉職?してしまって、現在は禿鷹を惜しむ声に力を得た(ププッ)逢坂が、その後を書いた新刊「兇弾」が話題になっている。死んでしまった禿鷹は生き返らないものね。

その他、大沢在昌の「新宿鮫」、高村薫の合田刑事、あれやこれやたくさんあるのだが、なかでも柴田よしきの女性刑事「RICO」シリーズは早く続編を書いてくれないかなあ。男性優位の警察組織のなかで女性刑事・村上緑子のレズビアンあり、不倫あり、ホモもあって、拳銃はぶっ放す、自由奔放のなんでもありの活劇ストーリー。ここで描かれている影の主役、経済ヤクザの山内練が悲しくも美しく。
ボクはRICOシリーズの大ファンなのだ。

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で、つい先日、「廃墟に乞う」で直木賞を受賞した佐々木譲の「巡査の休日」。彼は警官小説の主人公に刑事ではなく駐在所警察官(制服警官)を持ってきた。
ぼくは彼の作品について警察小説だけでも「うたう警官」(ハルキ文庫化で「笑う警官」に改題)、「制服捜査」「暴風圏」「警官の血」「警視庁から来た男」などかなりの数をこなしている。

この人、ひとつのところにとどまらない。ジュブナイル・青春小説を書いたかと思うとノンフィクション、ホラー、歴史物、ハードボイルド、政治モノ。何でも書く。そんなに器用な作家だとは思えないのだけど。
モトクロスを書いたデビュー作「鉄騎兵、跳んだ」は映画化され、あの!石田純一のデビュー作となった。「愚か者の盟約」の主人公はいまをときめく仙谷由人をモデルとして、彼を支える秘書の暗い情念を書いた。品切れだった榎本武揚の伝記「武揚伝」はボクの好きな小説のひとつだが、直木賞受賞に力を得てこのほど増刷が決定したようだ。

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佐々木が警官小説を書き始めたのは角川春樹に「マルティン・ベック」シリーズを書かないかと薦められたためだという。
スウェーデン市警の個性豊かな刑事たちの葛藤を、スウェーデン社会の変貌と重ね合わせながら克明に描いた全10巻の大河小説! 一貫してスウェーデンの高度福祉社会とその影の部分、そのほころびから起こる犯罪。刑事たちの成長と苦悩。それらを圧倒的に描いている。これは皆さんにも読んでもらいたいシリーズです。
佐々木の警察小説がマルティン・ベックシリーズの域に達しているかどうかと聞かれれば、この小説の刑事たちベック、コルベリ、スカッケ、メランデル、ルンたちと同様にボクは沈黙を守るが、ラーソンだけは「そんなバカな!」と顔を真っ赤にして吼えるに違いない。ぶふふ。

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「巡査の休日」は北海道道警シリーズともいわれる一冊で底流には道警の相次いだ不祥事とその後遺症が流れている。キャリアはキャリア。彼らが何をやろうと第一線の警察官は職務を果たさなくては…という小島百合巡査が主人公。ノンストップで退屈なく読める物語である。
笑ったのが幼児虐待の疑いのある女性宅に違法を承知で踏み込んだ小島巡査。現場を目撃して女性を思いっきり張り倒す。女性が叫んだ。「警察が暴力を振るった!」
小島巡査が啖呵を切る。「ただの警察じゃないよ。道警だよ。なんでもありの道警だよ。それ以上やってみるかい?」
ホンマ、あの道警はなんでもありだったなあ。

◎巡査の休日(佐々木譲、角川春樹事務所、2009.10刊)2010.2.17読了

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
う〜む シリーズ物は面白い。
一冊読めば 次々と気になる様になるのだけど、
警察物かどうかはわからないが、以前、トラベルミステリーの一人者西村京太郎の十津川シリーズが好きだったのですが、この方、何と言うか段々ピンとこなくなってきた。
例えば女性の口調が「○○なんですわ」
と必ず わ がつく。
変なんですよ。読んでると ん? となる。
時代にピントが合わないのかな?
う〜ん
チヌの海
2010/02/22 07:04
へぇ〜、そうなの。多少ピントがずれていても、もう西村くらいになると問題なし。ボクは西村京太郎は1冊も読んでいないからわからない。彼とともに長者番付の双璧、赤川次郎も最初期の「幽霊列車」と「セーラー服と機関銃」の2冊を読んだのみ。セーラー服はなかなか面白かったが、彼らに付き合うといくら時間があっても足りません。二人とも通算500冊くらいは出版しているんじゃないの。これだけ貢献して(出版界への貢献は受賞理由にならないだろうが)西村・赤川ともに直木賞を受賞していないと思う。
susie
2010/02/23 00:31

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